民法19~21条とその他関連条項
追加事項です。いずれも重要度が高いです。試験対策上も重要です。
民法 第19条
法律を2重に適用することは出来ません。と言うことが書いてあります。
条文
(審判相互の関係)
第十九条 後見開始の審判をする場合において、本人が被保佐人又は被補助人であるときは、家庭裁判所は、その本人に係る保佐開始又は補助開始の審判を取り消さなければならない。
2 前項の規定は、保佐開始の審判をする場合において本人が成年被後見人若しくは被補助人であるとき、又は補助開始の審判をする場合において本人が成年被後見人若しくは被保佐人であるときについて準用する。
引用:民法
解説
19条 後見開始の審判をする場合において、本人が被保佐人又は被補助人であるときは、家庭裁判所は、その本人に係る保佐開始又は補助開始の審判を取り消さなければならない。
2項 前項の規定は、保佐開始の審判をする場合において本人が成年被後見人若しくは被補助人であるとき、又は補助開始の審判をする場合において本人が成年被後見人若しくは被保佐人であるときについて準用する。
民法 第20条
契約には相手方も存在します。相手方の保護について素通りは出来ません。催告権を認めることで不安定さの解消を可能にしています。
条文
(制限行為能力者の相手方の催告権)
第二十条 制限行為能力者の相手方は、その制限行為能力者が行為能力者(行為能力の制限を受けない者をいう。以下同じ。)となった後、その者に対し、一箇月以上の期間を定めて、その期間内にその取り消すことができる行為を追認するかどうかを確答すべき旨の催告をすることができる。この場合において、その者がその期間内に確答を発しないときは、その行為を追認したものとみなす。
2 制限行為能力者の相手方が、制限行為能力者が行為能力者とならない間に、その法定代理人、保佐人又は補助人に対し、その権限内の行為について前項に規定する催告をした場合において、これらの者が同項の期間内に確答を発しないときも、同項後段と同様とする。
3 特別の方式を要する行為については、前二項の期間内にその方式を具備した旨の通知を発しないときは、その行為を取り消したものとみなす。
4 制限行為能力者の相手方は、被保佐人又は第十七条第一項の審判を受けた被補助人に対しては、第一項の期間内にその保佐人又は補助人の追認を得るべき旨の催告をすることができる。この場合において、その被保佐人又は被補助人がその期間内にその追認を得た旨の通知を発しないときは、その行為を取り消したものとみなす。
引用:民法
解説
20条 制限行為能力者の相手方は、その制限行為能力者が行為能力者(行為能力の制限を受けない者をいう。以下同じ。)となった後、その者に対し、一箇月以上の期間を定めて、その期間内にその取り消すことができる行為を追認するかどうかを確答すべき旨の催告をすることができる。この場合において、その者がその期間内に確答を発しないときは、その行為を追認したものとみなす。
2項 制限行為能力者の相手方が、制限行為能力者が行為能力者とならない間に、その法定代理人、保佐人又は補助人に対し、その権限内の行為について前項に規定する催告をした場合において、これらの者が同項の期間内に確答を発しないときも、同項後段と同様とする。
4項 制限行為能力者の相手方は、被保佐人又は第17条第1項の審判を受けた被補助人に対しては、第1項の期間内にその保佐人又は補助人の追認を得るべき旨の催告をすることができる。この場合において、その被保佐人又は被補助人がその期間内にその追認を得た旨の通知を発しないときは、その行為を取り消したものとみなす。
民法 第21条
制限行為能力者が行為能力者と偽り相手方と取引した場合、制限行為能力者を保護する必要はあるだろうか?それについての規定が21条です。
また詐術であるかどうかについて重要な判例がありますので一緒に取り上げます。
判例によると裁判所は黙秘のみでは詐術に当たらないとしています。
条文
(制限行為能力者の詐術)
第二十一条 制限行為能力者が行為能力者であることを信じさせるため詐術を用いたときは、その行為を取り消すことができない。
引用:民法
解説
21条 制限行為能力者が行為能力者であることを信じさせるため詐術を用いたときは、その行為を取り消すことができない。
その詐術について重要な判例があります。
(裁判昭44.2.13)
無能力者であることを黙秘することは、無能力者の他の言動などと相まって、相手方を誤信させ、または誤信を強めたものと認められるときには、民法20条にいう「詐術」にあたるが、黙秘することのみでは右詐術にあたらない。
関連する条項
民法 第102条 代理人の行為能力)
制限行為能力者が代理人であった場合の事項が代理の規定にあります。
条文
(代理人の行為能力)
第百二条 制限行為能力者が代理人としてした行為は、行為能力の制限によっては取り消すことができない。ただし、制限行為能力者が他の制限行為能力者の法定代理人としてした行為については、この限りでない。
引用:民法
解説
102条 制限行為能力者が代理人としてした行為は、行為能力の制限によっては取り消すことができない。→制限行為能力者は代理人になれる。
簡単に事例で表すと、行為能力を有する者(一般の成人)の代理人が制限行為能力者である場合です。
制限行為能力者の代理人が行った行為を行為能力の制限を理由として取り消すことが出来るとしたら、契約の当事者の一方が代理人に制限行為能力者を使えば取消権を常に有するというアンバランスさを引き起こす事になります。
ただし、制限行為能力者が他の制限行為能力者の法定代理人としてした行為については、この限りでない。
未成年者の法定代理人が制限行為能力者である場合などは取消し出来る
本文の例外です。
少しわかりにくいが 未成年の親権者(親)が被保佐人であった場合等は取消し事由となる。
民法 第121条の2 (原状回復の義務)
取り消された場合の処理が定められています。
条文
(原状回復の義務)
第百二十一条の二 無効な行為に基づく債務の履行として給付を受けた者は、相手方を原状に復させる義務を負う。
2 前項の規定にかかわらず、無効な無償行為に基づく債務の履行として給付を受けた者は、給付を受けた当時その行為が無効であること(給付を受けた後に前条の規定により初めから無効であったものとみなされた行為にあっては、給付を受けた当時その行為が取り消すことができるものであること)を知らなかったときは、その行為によって現に利益を受けている限度において、返還の義務を負う。
3 第一項の規定にかかわらず、行為の時に意思能力を有しなかった者は、その行為によって現に利益を受けている限度において、返還の義務を負う。行為の時に制限行為能力者であった者についても、同様とする。
引用:民法
解説
121条の2 無効な行為に基づく債務の履行として給付を受けた者は、相手方を原状に復させる義務を負う。(前条の121条に取り消された行為は、初めから無効であったものとみなすという規定があります。その為 「無効な行為に基づく」を「取り消された行為」と考えていいでしょう)
原則:相手方を現状に復させる義務があります。
3項 第一項の規定にかかわらず、行為の時に意思能力を有しなかった者は、その行為によって現に利益を受けている限度において、返還の義務を負う。行為の時に制限行為能力者であった者についても、同様とする。
この3項が制限行為能力者の規定に関係します。
行為の時に制限行為能力者であった場合は復させる程度が緩和されます。
行為の時に制限行為能力者で合った者は行為によって現に利益を受けている限度で返還義務を負う
*現に利益を受けている限度とは:利益が残っている分と言う事と同意
参考
意思能力を有しなかった者という文言が前段に加えられています。これは
第3条の2 法律行為の当事者が意思表示をした時に意思能力を有しなかったときは、その法律行為は、無効とする。
3条の2が反映されている結果です。
意思能力を有しなかった者も現に利益を受けている限度で返還義務を負います。
意思能力が有って行った事、と意思能力が無く行った事を同列には見られません。
民法 第158条 (未成年者又は成年被後見人と時効の完成猶予)
法定代理人がいない状態で時効の効果を及ぼすことは未成年と成年被後見人の保護にそぐわないのではないか?と言う事に応えるのが158条です。
判断できる状態となるか、法定代理人が決まってから一定期間の猶予を与える規定です。
条文
(未成年者又は成年被後見人と時効の完成猶予)
第百五十八条 時効の期間の満了前六箇月以内の間に未成年者又は成年被後見人に法定代理人がないときは、その未成年者若しくは成年被後見人が行為能力者となった時又は法定代理人が就職した時から六箇月を経過するまでの間は、その未成年者又は成年被後見人に対して、時効は、完成しない。
2 未成年者又は成年被後見人がその財産を管理する父、母又は後見人に対して権利を有するときは、その未成年者若しくは成年被後見人が行為能力者となった時又は後任の法定代理人が就職した時から六箇月を経過するまでの間は、その権利について、時効は、完成しない。
引用:民法
解説
完成前6か月に代理人が居ないと猶予事由となる。本人が行為能力者となるか新たな代理人が決まった時から6か月は完成しない。
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