民法101条~103条 代理 【行政書士試験対策】

代理行為の要件を満たしても、様々な状況が発生します。それに対応するのが101条~103条です。

言うなれば代理要件の追記の部分と考えてください

 


最初に代理権の発生について

  具体例
法定代理法律の規定①:未成年者の保護者 ②:裁判所の選任など
任意代理代理権授与主に委任契約による。 他に請負契約や組合契約

 

代理人と言うと契約上の交渉人的イメージが強いのではないでしょうか

時折プロスポーツ選手の契約に代理人が、、、なんていうニュースが話題になります。

しかし、この代理権の発生原因を見ると、未成年者や成年被後見人の代理人も含め広く代理人とされているのが分ると思います。


ここで注意してほしいことがあります。

未成年者の親権者と成年後見人は法定代理人ですが、保佐人と補助人は当然に法定代理人ではありません。

 

この表を覚えているでしょうか

制限行為能力者の事項を表でまとめたものです。

代理権の審判

 本人の同意理由
未成年不要 
成年被後見人不要 
被保佐人876条の4 2項
被補助人保佐人の規定準用

 

 

代理権を付与されるには裁判所の審判が必要です。

その為審判を受ければ範囲内については法定代理人となりますが、審判を受けない場合は代理人たる地位にはありません。

 


代理権の消滅については111条に明記が有りますのでそこで解説します。

 


民法 第101条

代理行為の意思表示に、意思表示の瑕疵が有った場合の判断の起点を定めたのが101条です。

 

条文

 

解説

101条 代理人が相手方に対してした意思表示の効力が意思の不存在、錯誤、詐欺、強迫又はある事情を知っていたこと若しくは知らなかったことにつき過失があったことによって影響を受けるべき場合には、その事実の有無は、代理人について決するものとする。

 

実際に契約を締結するのは誰でしょう?代理人と相手方になります。

 

意思の不存在とは?:この場合 心裡留保、虚偽表示と考えていいでしょう。

 

意思の不存在、錯誤、詐欺、強迫:代理人基準で判断

ある事情について悪意若しくは有過失:代理人基準で判断

 

ある事情について代理人が善意、無過失:3項がその続きと考えられます。

 

代理人の意思表示

ある事情について代理人が悪意、若しくは善意で有過失の場合

            ↓

原則:代理人について決するもの=代理人基準で判断

 

この瑕疵が心裡留保や虚偽表示でが有れば、有効無効の問題となり、錯誤、詐欺、脅迫が有れば取消しできるかどうかと言う問題となります。

  

2項 相手方が代理人に対してした意思表示の効力が意思表示を受けた者がある事情を知っていたこと又は知らなかったことにつき過失があったことによって影響を受けるべき場合には、その事実の有無は、代理人について決するものとする。

 

1項は代理人から相手方への意思表示でした。

2項は相手方から代理人への意思表示です。

同じように、代理人が悪意か有過失で代理人基準で判断されます。

 

3項 特定の法律行為をすることを委託された代理人がその行為をしたときは、本人は、自ら知っていた事情について代理人が知らなかったことを主張することができない。本人が過失によって知らなかった事情についても、同様とする。

 

3項は1項の続きと考えられます。

 

本人と代理人の関係です。

本人は、本人が知っていれば代理人が知らない事を理由として主張できません。

(俺は知っていたけど、代理人は知らなかったんだから無効だ!取消しだ!と主張できません。)

 

1項では、ある事情について悪意若しくは有過失:代理人基準で判断

3項では、代理人が善意で無過失であれば本人は代理人の善意を主張できません。

 

条文の後半は、本人に過失があっても同じように契約の安全が優先されます。

 

事情について本人が悪意または有過失で代理人の行為を否定できません。

大事なのは、「特定の法律行為をすることを委託された代理人がその行為をしたとき」です。

代理権授与されていてその範囲内である場合と言う事です。これが代理権授与に瑕疵があったり、範囲外の行為だったりすると違う話になります。

 

民法 第102条

制限行為能力者は代理人になることが出来ます。効果の帰属は本人だからです。代理人である制限行為能力者に不利益はかかりません。

条文

 

解説

102条 制限行為能力者が代理人としてした行為は、行為能力の制限によっては取り消すことができない。

 

制限行為能力者は代理人になれる。その場合は制限行為能力者であることを理由として取り消すことは出来ない

 

簡単に事例で表すと、行為能力を有する者(一般の成人)の代理人が制限行為能力者である場合です。

行為能力者の代理で行った行為は代理人の行為能力の制限を理由として取り消すことが出来ません。

これを出来るとした場合を考えると契約の当事者の一方が代理人に制限行為能力者を使えば取消権を常に有するというアンバランスさを引き起こす事になります。

 

 

ただし、制限行為能力者が他の制限行為能力者の法定代理人としてした行為については、この限りでない。

 

未成年者の法定代理人が制限行為能力者である場合などは取消し出来る

本文の例外です。 

少しわかりにくいが 未成年の親権者(親)が被保佐人であった場合等は取消し事由となる。

 

既出の条文です。制限行為能力者のところで一度取り上げました。

民法19条~21条 制限行為能力者のその他の規定 【行政書士試験対策】
民法19条~21条と関連する条項 を解説 催告って誰にすればいいの? 詐術って何?

 

後見人の欠格事由

民法847条1項2号によると被保佐人、被補助人は法定代理人にはなれません。

またこの規定は保佐人、補助人の選任にも準用されています。裁判所が選任に関係する場合は代理人は制限行為能力者でないことが要求されます。

 

102条は契約等による代理について定めてあると思っていいでしょう。

 

民法 第103条

条文

 

解説

103条 権限の定めのない代理人は、次に掲げる行為のみをする権限を有する。

1 保存行為

2 代理の目的である物又は権利の性質を変えない範囲内において、その利用又は改良を目的とする行為

 

権限の範囲はどう決決まるか

法定代理法律の規定によよる
任意代理契約内容による

 

範囲が決められていない場合の規定が103条

 

権限の定めのない代理人は保存、利用、改良(代理の目的である物又は権利の性質を変えない範囲内)が出来る。

 

権限が決まっているが権限外の事をする場合の規定

これに関連して、反対に権限が決まっているが権限外の事をする場合の規定が28条にあります。

 

(管理人の権限)

28条 103条に規定する権限を超える行為を必要とするときは、家庭裁判所の許可を得て、その行為をすることができる(民法28条前段)。

 

権限の決められている管理人は権限外の事をする場合裁判所の要許可

 


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