復代理人
では条文に移りましょう。
民法 第104条
任意代理人が復代理人を選任する場合です。代理人は主に契約によって代理人となります。
条文
(任意代理人による復代理人の選任)
第百四条 委任による代理人は、本人の許諾を得たとき、又はやむを得ない事由があるときでなければ、復代理人を選任することができない。
引用:民法
解説
原則:代理人を選人出来ない
例外:1本人の許諾を受ければ出来る
2やむを得ない事由が有る時は出来る
原則はなぜ選任できないのか?
任意代理は主に委任契約によって行われます。本人に効果の及ぶ代理行為であることを考えるとその権限の委譲には本人の許諾が必要と考えるのが自然です。
また【やむを得ないとき】とは人間何があるかわかりません。不測の事態が起き代理できない事もあるでしょう。それをやむを得ない事由と表現し例外的に可能としています。
民法 第105条
法定代理人が復代理人を選任する場合です。 行政書士試験上は主に未成年者の親権者や成年後見人が重要です。
条文
(法定代理人による復代理人の選任)
第百五条 法定代理人は、自己の責任で復代理人を選任することができる。この場合において、やむを得ない事由があるときは、本人に対してその選任及び監督についての責任のみを負う。
引用:民法
解説
原則:自己の責任で副代理人を選任できる。
やむを得ない事由があるときは、本人に対してその選任及び監督についての責任のみを負う
法定代理人は自己の責任で選任できます。
任意代理人とは反対です。復代理人の行為が本人に影響するのは同じですね。
行政書士試験上重要なのは法定代理人と言えば、親権者、成年後見人です。さらに加えるなら代理権を付与された保佐人、補助人でしょう。
許諾を求めても本人正確にが理解できますか?と考えるとわかるでしょう。また本人は取消権等で厚く保護されています。ことさら許諾を求める規定は不要でと言えるでしょう。
また選任に裁判所がかかわった場合、代理人は本人の為に本人と契約したと言えるでしょうか?本人の為裁判所に選任してもらった。と言う形になります。
このことから復代理人の選任は代理人の裁量とされています。
「やむを得ない時」また出てきました。前条と同じです。何があるかわかりません。
ただこれ自己の責任と言う文言がここに関係してきます。このため 原則は復代理人の責任を代理人が負うことになります。それはそうです。選任した者が責任を負うんです。
この自己の責任の部分と選任及び監督についての責任この部分が理解の邪魔をしています。
このためいくつかのパターンが発生します。
復代理人が有責の場合
代理人のやむを得ない事情 | 選任と監督について代理人に責任があるか? | 代理人が責任を問われるか? |
有 | 有 | 問われる |
無 | 問われる→問われない | |
無い | 有 | 問われる |
無 | 問われる |
自己の責任で選任しますから原則は問われる。赤字の列ですね。105条前文によると、やむを得ない事情は関係ありません。前記した通り選任した者が責任を負います。(自己の責任という言葉の重さを感じます。)
105条後段を やむを得ない事情があっても代理人に有責事項があれば問われる→ここを反対解釈すれば、なければ問われない。とここだけ責任が回避されます。青字の流れです。
短いですが後段は非常に分かりにくいです。
民法 第106条
選任された復代理人の権限についての規定が106条です。
条文
(復代理人の権限等)
第百六条 復代理人は、その権限内の行為について、本人を代表する。
2 復代理人は、本人及び第三者に対して、その権限の範囲内において、代理人と同一の権利を有し、義務を負う。
引用:民法
解説
復代理人は本人を代表
復代理人の代理行為は本人に効果を及ぼします。
選任するのが代理人でも復代理人は代理人ではなく本人を代表しています。
副代理人は代理人と範囲内において同一の権利義務がある
復代理人、その他の導き出される事項
その他導き出される事項
*代理人は副代理人を選任しても代理権は失わない
*副代理人の代理権の範囲は代理人に授権された範囲。これを超えると無権代理となる
*代理人の代理権が消滅すれば副代理人の代理権も消滅する
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