民法107条~108条 代理 【行政書士試験対策】

代理権が有っても無権代理行為となる場合があります。

それが民法107条、108条で定められています。


民法 第107条

代理は本人の為に行われます。

条文

 

解説

107条 代理人が自己又は第三者の利益を図る目的で代理権の範囲内の行為をした場合において、相手方がその目的を知り、又は知ることができたときは、その行為は、代理権を有しない者がした行為とみなす。

 

代理人が自己又は第三者の利益を図る目的で代理権の範囲内の行為をする+相手方が悪意か有過失=無権代理とみなす。

 

無権代理となるからには103条以下の無権代理の条文が適用されます。

 

この無権代理とみなされる場合に相手方が何が出来ますか?と言うことが114~117条に規定があります。

詳しくは後述しますが、簡単にまとめてみます。

 

 催告取消し無権代理人の責任を追及
悪意出来る出来ない出来ない
善意有過失出来る出来る無権代理人が無権代理について悪意→出来る
無権代理人が無権代理について善意→出来ない
善意無過失出来る出来る出来る

関連条項114条:無権代理の相手方の催告権

    115条:無権代理の相手方の取消権

    117条:無権代理人の責任

また善意無過失の場合、表見代理が成立する余地があるのでその部分は頭に置いてほしい。

 

 

民法 第108条

相手方や本人に不利益をもたらす可能性が高いために無権代理とされる行為

条文

 

解説

108条 同一の法律行為について、相手方の代理人として、又は当事者双方の代理人としてした行為は、代理権を有しない者がした行為とみなす。ただし、債務の履行及び本人があらかじめ許諾した行為については、この限りでない。

 

本人と相手方の保護を目的として、定められている規定。

 

自己契約を代理人の立場を利用して行うと、不当に安い金額を設定したり本人の不利益になる場合が有る為。

また双方代理も同じように一方の不利益になるような契約がされる場合が有る為に自己契約と双方代理は無権代理とみなされる。

 

原則:自己契約、双方代理は無権代理とみなされる

例外:1,本人があらかじめ許諾した行為は出来る

   2,債務の履行は出来る

債務の履行とは?:不動産売買契約で売主買主双方を代理して登記申請を行う場合などがそれにあたる。すでに決まっている債務の履行は当事者に不利益を及ぼす可能性はないです。

 

2項 前項本文に規定するもののほか、代理人と本人との利益が相反する行為については、代理権を有しない者がした行為とみなす。ただし、本人があらかじめ許諾した行為については、この限りでない。

 

分かりにくい条文です。状況を想像しにくいです。

利益が相反する行為 ココがポイントです。

 

この2項を理解するのに丁度いい判例があります。

(最判昭37.10.2)

裁判要旨

親権者が自己の負担する貸金債務につき未成年の子の所有する不動産に抵当権を設定する行為は、借受金を右未成年の子の養育費に供する意図であつても、民法第八二六条にいう「利益が相反する行為」にあたる。

参考 民集 第16巻10号2059頁

これ平成26年度の問35親族分野で出題されていますが状況を想像するのに丁度良いので取り上げます。

 

代理人(親)が法律行為(借入)するのに、本人(子)の財産に抵当権を付けた事例です。

何となく見えてきませんか?この事例は本人の為の養育費が借入の名目でした。

代理人に債務不履行があれば本人の財産の抵当権が実行されます。

 

意図が本人の為であっても利益相反に当たる。とバッサリです。

 

これに近い状況を想像すると

代理人が借入するのに本人の不動産に抵当権を設定した。このような場合です。

借り入れの返済に不履行があれば抵当権が設定されます。

 

ただし 本人が許諾していれば有効になります。

本人が代理人に「借りてきて。ここの土地に抵当権設定していいから。」と意思表示していれば問題ないわけです。

 


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