民法111条 代理権の消滅事由

無権代理の原則は追認がなされなければ効果が本人に帰属しない。

しかし、無権代理人に代理権が有るかのような外観を作り出したことに帰責性が認められる場合に過失なく信じた相手方に対し本人が責任を負う場合があります。これを表見代理と言います。

 

111条は代理権の消滅事由に関する条文ですが表見代理の条文に挟まれて存在します。

代理権の消滅事由を明記することで帰責性がどこにあるか明確にする意図があり表見代理の規定の中にあります。

その為先に111条を取り上げたいと思います。


代理権の発生原因はもうやりましたね。

以下にあります。

民法101条~103条 代理 【行政書士試験対策】
代理行為の瑕疵、代理人の行為能力、権限の定めのない代理人の権限 要件以外の代理の規定

 この中に法定代理と任意代理があります。任意代理は主に委任契約が主な発生事由となっています。ということでしたね。

 

では消滅原因は?と言うのが111条です。

委任代理権の消滅についても別途規定があります。

では詳しくしていきたいと思います。

 


民法 第111条

条文

 

解説

111条 代理権は、次に掲げる事由によって消滅する。

 

消滅事由を上げることで、それ以外は消滅しない形になります。

 

1 本人の死亡

2 代理人の死亡又は代理人が破産手続開始の決定若しくは後見開始の審判を受けたこと。

 

 任意法定
本人代理人本人代理人
死亡消滅消滅消滅消滅
破産消滅消滅 消滅
後見開始 消滅 消滅

青字:111条1項1による

赤字:111条1項2による

 

 

2項 委任による代理権は、前項各号に掲げる事由のほか、委任の終了によって消滅する。

 

 任意法定
本人代理人本人代理人
死亡消滅消滅消滅消滅
破産消滅消滅 消滅
後見開始 消滅 消滅
終了消滅消滅  

 

643条以降に委任の条文があり委任の解除や終了についての規定が有ります。

 

←黒字:651条による

 

参考 民法

(委任の解除)

651条 委任は、各当事者がいつでもその解除をすることができる。

 前項の規定により委任の解除をした者は、次に掲げる場合には、相手方の損害を賠償しなければならない。ただし、やむを得ない事由があったときは、この限りでない。

 相手方に不利な時期に委任を解除したとき。

 委任者が受任者の利益(専ら報酬を得ることによるものを除く。)をも目的とする委任を解除したとき。

委任の終了事由

653条 委任は、次に掲げる事由によって終了する。

 委任者又は受任者の死亡

 委任者又は受任者が破産手続開始の決定を受けたこと。

 受任者が後見開始の審判を受けたこと。

 

法定代理人には他に裁判所による解任により代理権が消滅する事由があります。

民法7条~10条 成年被後見人 【行政書士試験対策】
制限行為能力者 成年被後見人について 民法7~10条と関連条項 を徹底解説

こちら参照ください。決めるのにも裁判所ですから解任にも裁判所が関わります。(846条)

 


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