民法 122条~126条 追認 【行政書士試験対策】

取消しできる行為と言うのは取り消されるまでは無効ではありません。

その為、取消しが出来る行為を積極的に追認していく事も出来ます。

追認する場合の規定が定められています。

 


民法 第122条

追認できる人についての定めが122条です。誰でも出来るわけじゃありません。

該当しない人が追認。話言葉で状況を表すと「○○がこれでいいって言ってましたよ。」なんて言っても、○○ってどなた?となるわけです。

 

条文

 

解説

ここにも出てきました。毎度おなじみ120条。120条に定められている者が一度追認すれば取り消せません。

ちょっとだけ振り返りましょう。

 

本人、代理人、承継人(相続人)、同意をすることが出来る者(保佐人、補助人を想定)

が追認できる者となります。

ここで注意してほしいことがあります。

20条です。

あれ?制限行為能力者本人への追認の催告は何の効果も無かったはずでは?と思いませんか

それなのに制限行為能力者が追認できるのか?と言う事です。

 

実は、この事については別に要件が定めれらています。それが後述する124条です。

 

民法 第123条

取消し出来る者(120条)と追認出来る者(122条)は定まりました。123条はその方法です。

 

条文

 

解説

追認は本人から相手方

 

(無権代理)113条 に近い条文があります。

無権代理を思い出してください。

民法113条~118条 無権代理 【行政書士試験対策】
無権代理を徹底解説

これは相手方は取消ししようと思ってたけど本人に追認されてた。と言う事態を防ぐためであると解説しました。

同じことが言えます。

相手方に伝えてこそ有効です。

 

民法 第124条

122条では制限行為能力者も追認が出来ます。とされていましたね。このことを含めて124条では要件が定められています。

 

条文

 

解説

要件

取消しの原因となっている状況が消滅

未成年が成年となりました。→行為能力者になります。

制限行為能力者が判断能力を回復した。→行為能力者になります。(ここを掘り下げると制限行為能力者の審判の取消しには家庭裁判所の判断が必要ですね。)

など考えられます。

また122条から120条にさかのぼると取消し出来るのは詐欺脅迫を受けている者とその代理人と継承人です。

 

原因が消滅と言う表現は、騙されたり脅迫されたりしたまま追認してしまうと取消しが出来なくなります。取消権者にとって大きな不利益となる事からこのような規定があります

 

 ②取消権が有ることを知った後

 

 ②は追認は取消権の放棄の性質が有る為必要とされる要件です。

 

①②を合わせると124条1項は

判断できる状態かつ取消権があることを知ってなければ追認の効果は生じません。となります。

 

2項は制限行為能力者が追認出来る事への疑問に答える条項です。

 次に掲げる場合には、前項の追認は、取消しの原因となっていた状況が消滅した後にすることを要しない。→詐欺脅迫は、取消しの原因となっていた状況が消滅した後にすることを要します。除外されてます。

 

一:法定代理人(未成年の親権者、未成年後見人、成年後見人と考えていいでしょう)が追認するとき。

一:保佐人、補助人(法定代理人ではない)が追認するとき。

二:未成年、被保佐人、被補助人が法定代理人、保佐人又は補助人の同意を得て追認をするとき

は、取消しの原因となっていた状況が消滅した後にすることを要しない。→同意が有れば追認できる

このような項目を加えることで、追認できる者を定めた122条を補っています。

 

民法 第125条

追認の意思表示が無くても追認したとみなされる行為があります。一定の行為が有った場合にいつまでも追認できる状態で行為が積み重なるのを防ぐための規定です。それが125条です。

 

条文

 

解説

注意点は、「追認をすることができる時以後」と但し書き部分です。

まず、一号から六号まで見てみましょう。

 

1 全部又は一部の履行(債務を履行した又は受けた)

2 履行の請求(取消し権者の請求 未成年の取引で保護者が請求した)

3 更改

4 担保の供与 (抵当権など)

五 取り消すことができる行為によって取得した権利の全部又は一部の譲渡 (取消権者が譲渡した)

6 強制執行 (取消権者が強制執行した)

 

赤字は例として分かりやすい事例を上げました。

いずれも、契約の次の段階に進んでいる状態と言えます。取消権者が契約の履行が進んだんだからもう取り消しは無いと思うのが自然でしょう。それを明文化してあります。

 


分かり難いのは但し書きの部分です。

一∼六の事実があっても意義をとどめたら、追認したことにならない。

これどんな状況でしょうか?

 

民法上の争いはどの段階で発生するかは状況によって千差万別でしょう。場合によっては

相手型:払ってください。

取消権者:嫌です取り消します。

相手方:期日までに履行しなければ裁判して利息取りますよ。

なんてことになりかねませんね。

 

その時取消権者はこう考えるでしょう。 負けても利息は払いたくない。でも追認もしたくない。取り消したい。

負けた時の保険として一応払っておいて、利息は回避しよう。でも追認したくないんだよね。

 

そのような場合を想定してるのが但し書きです。

一応払いますが取消権は放棄しません。争います。と言う事を意思表示することが出来るという事です。

 


追認をすることができる時以後

これも分かりにくいです。

124条 取り消すことができる行為の追認は、取消しの原因となっていた状況が消滅し、かつ、取消権を有することを知った後にしなければ、その効力を生じない。

これ以降じゃないのかと思いますよね。

これには改正で追加された条文と過去の判例が影響しています。掘り下げる必要性は低いと考えますので単純に「取消しの原因となっていた状況が消滅した以降」と覚えればOKです。取消権を有することを知っていようがいまいが関係ないのです。

 

取消しの原因となっていた状況が消滅した以降に取消権について知っていても知らなくても1号~6号までの行為をしたら追認したとみなされます。

 

取消権あるのに知らずに払っちゃった。→ハイ。法定追認です。

 

但し書き部分も含め、民法の怖い点です。行政書士的にも怖いポイントであると思います。

 

民法 第126条

いつまでも不安定な状態で取消権を保有しておくことは出来ません。法律は公平に極力安定した地点に着地させようとします。

いつまで取消権を保有できるかを定めたのが126条です。

 

条文

 

解説

時効 出来る時から5年、行為の時から20年

 

時効制度の登場です。

○○の時から□□年となっています。

事項については後述しますがこの○○の部分を起算点と言います。この起算点は自由勝手に設定できるものではありません。権利義務の消滅や取得にかかわりますので重要です。

 

ここは単純に

追認は出来る時から5年、行為の時から20年

で良いでしょう。

時効の分野でまとめて表にしたいと思います。

 

 


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