民法 144条~146条 時効 【行政書士試験対策】

新たに権利を得、または義務を免れる。権利義務の変動には原則が重要です。

最初に時効の原則が定められています。


民法 第144条

時間の経過が要件となっている時効。時効の効果はどこから発生するのでしょうか?

 

条文

 

解説

起算日にさかのぼります。

他の権利が積み重ならない様にするために時効の効果は遡って発生します。

取得時効は起算日から所有していたことになります。

消滅時効は、その債権が無かった事になります。

 

また重要なのは起算日です。勝手に設定できません。

後述しますが起算日には2種類あります。

特に消滅時効で問題となります。

○○できる時から何年→客観的起算点

○○を知った時から何年→主観的起算点

この部分は想像しにくく、理解し難いので別にまとめたいと思います。

 

時効の効果が遡る理由

社会の安定を目指している。

事実関係を基礎に築かれた関係を保護する事で社会の安定をめざしている。

 

時間の経過により当初の状況を立証するのが困難になってくる。

 

権利の上に他の権利が積み重なるのを防ぐ

これは

取得時効の場合、援用したら占有期間分の不法占拠の損害賠償が付いてきたら?

消滅時効の場合も債権が消滅しても利息が残ったら?

と考えれば分かりやすいです。

起算点に遡れば不法占拠じゃなくなりますし、債権が無いことになれば利息なんて発生の余地がありません。

 

権利の上に眠るものを保護しない。この原理から考えると、今まで放っておいたものを保護する理由がありません。このことから時効の効果は起算点に遡るとされています。

 

民法 第145条

時効は当事者が援用しなければ効果が発生しません。と言う原則がここで語られています。

 

条文

 

解説

①時効は完成しても効果は発生しない。 

②効果を発生させるためには当事者が時効を援用しなければならない。 これ裁判所が当事者関係なくハイ時効ね。とは出来ないんですね。

 それで、どこまでを当事者にするかが問題となります。

 

時効援用の当事者

消滅時効の援用権者にあたる

 

保証人 連帯保証人主たる債務の消滅時効を援用出来る
*物上保証人抵当権等の被担保債権の消滅時効を援用出来る
抵当権の設定された不動産の第三取得者抵当権の被担保債権を援用出来る

 

判例による消滅時効の援用権者にあたらないとされた者

 

後順位抵当権者裁判平11.10.21 先順位抵当権の被担保債権を援用出来ない
土地を時効取得する者から土地上の建物を賃借している者裁判昭44.7.15 土地の取得時効を援用出来ない

 

物上保証人とは

 

物上保証人とは?
自分の財産を、自分以外の人の債務の担保として提供する人のことを物上保証人といいます。

中々に過酷な立場に置かれています。

債務者に不履行があれば物上保証人の財産に抵当権が実行されるわけです。

抵当権には付従性があることを考えると、被担保債権に時効が完成すれば抵当権にも時効が完成していると考えれば妥当な話なのが分かると思います。

:債務者が被担保債権の時効を援用すれば付従性により抵当権も消滅する。その為物上保証人が時効を援用するというのは時効は完成しているが、債務者がその時効を援用していないという状態

 

民法 第146条

時効制度があり時効を援用出来るというのはある種の権利と考えることが出来ます。特に消滅時効に係りますが、その権利を侵すようなことは出来ないとされています。そのことを明文化したのが146条です

 

条文

 

解説

利益を放棄出来ない。

民法は私的自治の範囲じゃないの?契約自由ではないのですか?。と思う方も居そうですがそうではありません。

特に消滅時効にかかる債権が発生するときは立場上債権者側が強くその為債務者側の権利を保護しておくことが必要です。

 

砕けた表現だとこうなります。

貸してやるから時効を主張すんなよ。などと言う事は出来ません。あらかじめ放棄は出来ませんから。 となります。

  


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