民法 167条~169条 消滅時効 【行政書士試験対策】

166条では債権等の消滅時効の原則は主観的起算点から5年、客観的起算点から10年でした。取得時効の期間より短いですね。と言ったことを書きました。167条以降はその例外事項についてです。


民法 第167条

条文

 

解説

客観的起算点「できる時」からの時効期間が延長されます。

10年→20年です。

注意が必要なのは、主観的起算点「知った時から」には触れていません。主観的起算点は同じく5年のままになります。

 

不法行為による損害賠償請求権について

724条に不法行為による損害賠償請求権の条項があります。関連付けて取り上げます。

 

条文

 

民法166条の原則債権の消滅時効は主観的起算点から5年、客観的起算点から10年

が短縮される場合と延長される場合と定められています。

表でまとめると以下になります

 

債権の消滅時効の原則

166条主観的起算点(知った時)から5年
客観的起算点(できる時)から10年

166条は原則的な期間の設定

人の生命又は身体の侵害による損害賠償請求権の消滅時効

167条主観的起算点(知った時)から5年
客観的起算点(できる時)から20年

人の生命又は身体の侵害による損害賠償請求権の消滅時効は客観的起算点延長。

不法行為による損害賠償請求権の消滅時効

724条主観的起算点(知った時)から3年
客観的起算点(できる時)から20年

不法行為による損害賠償請求権の消滅時効も客観的起算点は延長。

対して主観的起算点は短縮。気が付いたら早く請求しましょう。

人の生命又は身体を害する不法行為による損害賠償請求権の消滅時効

724条の2主観的起算点(知った時)から5年
客観的起算点「できる時」から20年

主観的起算点が不法行為と言うくくりで短くなってしまうと判断される恐れがありますね。

確認のために5年と明記

 

これを簡単に表現すると、両者の間争いが起きました。と言う場合に「殴られました。」と「物を壊されました。」は同列には扱われません。

 

民法 第168条

典型的な定期金債権とされるのは、年金や不動産賃貸借契約、給与、養育費などありますが個別に他の法律で消滅時効に関する規定が有るケースが多く、試験対策上は重要度は低いと考えています。

条文

 

解説

重要なのは、債権者が・・と言う事です。債権者が行使できることを知った時から、行使できる時から が起算点となります。

原則:

主観的起算点(知った時から)10年

客観的起算点(出来る時から)20年

 

2項

債務者は支払に対する受取証を得られるので客観的起算点を押さえることが出来ますが債権者には証拠が残らない事になります。そのため債権者も時効更新の証拠を得られるようにするという事

また152条1項により一部支払いは更新の事由となるので定期的に支払う事で時効の起算点が毎回更新することになります。

 

 

定期金債権とは

定期的に金銭や物を給付することを約した債権

 

この定定期的に金銭や物を給付することを約した債権から発生した個別の債権を「定期給付債権」と言います。

 

168条1項1号の「債権者が定期金の債権から生ずる金銭その他の物の給付を目的とする各債権」は定期金債権から個別に発生した定期給付債権です。

 

注意しなければならないのは、個別に発生した定期給付債権について行使できることを知った時から10年、行使できるときから20年で元の定期金債権が消滅します。

 

定期金債権について試験対策上はどう?

前記のように試験対策上は重要度は低いと考えています。その為個別の事案に突っ込んで考えるよりも簡潔に用語解説を織り交ぜて一文にしてしまっていいと思います。

 

定期給付金とは定期的に金銭や物を給付することを約した債権で、そこから個別に発生した定期給付債権について知った時から10年、できるときから20年で元の定期金債権が消滅する。

 

民法 第169条

条文

 

解説

裁判の結果確定したものは10年

 

時効の総則の中に時効が完成しない事由が定められています。学習の順序的に事項分野の最後が良いのではないかと思っています。

その中に裁判上の請求があります。訴訟が終了するまで時効の完成は猶予されます。判決により確定した権利については時効期間10年となります。

 


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