民法3条 【行政書士試験対策】

民法総則

人がその権利を受けるための能力とは何だ?と言うことが語られているのが3条です。

そして、行為の結果を認識できる能力を意思能力と言います。

3条は原則になりますが3条の2は原則から一歩踏み込んでいます。


民法 第3条

条文

第3条 私権の享有は、出生に始まる。

 外国人は、法令又は条約の規定により禁止される場合を除き、私権を享有する。

引用:民法

 

 解説

3条 私権の享有は、出生に始まる。

権利能力の取得は出生による⇔胎児には権利能力がない。

この3条には以下の条文で例外、追加事項が設けられています。

 


(損害賠償請求権に関する胎児の権利能力)
第721条 胎児は、損害賠償の請求権については、既に生まれたものとみなす。
 
(相続に関する胎児の権利能力)
第886条1項 胎児は、相続については、既に生まれたものとみなす。
 
(相続人に関する規定の準用) 
第965条 第886条及び第891条の規定は、受遺者について準用する。
 引用:民法 

胎児には権利能力はないが、

①出生前でも不法行為に基づく損害賠償請求権は権利能力が認められる。

②出生前でも相続は権利能力が認められる

③出生前でも相続は権利能力が認められる

これは出生まえに、父親が事故で死亡した。などがわかりやすい例になります。

 

出生により取得した権利能力を喪失するのはいつでしょう?通説では死亡時とされています。

死亡した人には権利能力がない。(通説)これ覚えておいてください。個人情報分野でこれが大事になることがあります。

 

項 外国人は、法令又は条約の規定により禁止される場合を除き、私権を享有する。

憲法9や25条に比べたらジミな存在ですが

憲法10条 日本国民たる要件は、法律でこれを定める。

第11条 国民は、すべての基本的人権の享有を妨げられない。この憲法が国民に保障する基本的人権は、侵すことのできない永久の権利として、現在及び将来の国民に与へられる。

とあります。

国民の基本的人権は妨げません。とだけなっています。国民たる要件は法律で定めるわけですから国民でない場合にまで完全に保証はされていないと読むことも可能です。

何を保証していないかは法律で禁止してあります。と言うことが書いてあります。

 

外国人は私権を享有してます。ただし禁止されていること以外ね。というこの考え方は国民の要件は法律で定める。という10条が背後に隠れています。

 

他分野ですが時折外国人の私権の制限が憲法判断されることが有ります。混同しそうですが階層ごとに常に上に抵触しないかが考えられ短い中にも慎重に文言が考えられています。

 

例外事項に対する裁判所の考え

 

3条では「私権の享有は、出生に始まる」とうたっています。ではなぜ出生まえの胎児に認められるか?と考えた時に出生により遡って権利能力を取得するという考え方が有ります。

 

親族編 と相続編に 3条の例外事項があることについて裁判所は以下ような立場を取っています。

大判昭7.10.6の判例で停止条件説を採用しています。深追いしなくてもいいと思いますが興味ある方は検索してみてください。

 

民法 第3条の2

条文

第3条の2 法律行為の当事者が意思表示をした時に意思能力を有しなかったときは、その法律行為は、無効とする。

引用:民法

 

解説

3条の2 法律行為の当事者が意思表示をした時に意思能力を有しなかったときは、その法律行為は、無効とする。

少し分かりにくい意思能力です。

意思能力は自分の行為の結果を判断できる精神能力の事です。

これ取消し出来るではなく、無効になります。法律上認めないという事になります。

この明確に無効とする文言は非常に重要です。

 

子供、泥酔者、精神障害者には意思能力がないとされています。

子供の年齢については明文がなく10歳程度で意思能力を獲得すると言われています。

 

未成年者の各能力の目安は?

各能力は明文は無くとも判例等でおよその年齢が推測できます。

危険等弁識能力 概ね7歳で獲得:不法行為の過失相殺の前提となる

意思能力 概ね10歳程度で獲得

不法行為の責任能力 12歳~13歳程度 (民法712条に未成年者の責任能力についての条文が有ります)

養子縁組に関する事項 15歳:

遺言 15歳

行為能力獲得 18歳(成人): 死因贈与が可能となる、公正証書遺言の証人になれる

 

 


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