7条から10条に成年被後見人の規定が定められています。
民法 第7条
条文
(後見開始の審判)
第7条 精神上の障害により事理を弁識する能力を欠く常況にある者については、家庭裁判所は、本人、配偶者、四親等内の親族、未成年後見人、未成年後見監督人、保佐人、保佐監督人、補助人、補助監督人又は検察官の請求により、後見開始の審判をすることができる。
引用:民法
解説
7条 精神上の障害により事理を弁識する能力を欠く常況にある者については、家庭裁判所は、本人、配偶者、四親等内の親族、未成年後見人、未成年後見監督人、保佐人、保佐監督人、補助人、補助監督人又は検察官の請求により、後見開始の審判をすることができる。
民法 第8条
条文
(成年被後見人及び成年後見人)
第8条 後見開始の審判を受けた者は、成年被後見人とし、これに成年後見人を付する。
引用:民法
解説
8条 後見開始の審判を受けた者は、成年被後見人とし、これに成年後見人を付する。
民法 第9条
条文
(成年被後見人の法律行為)
第9条 成年被後見人の法律行為は、取り消すことができる。ただし、日用品の購入その他日常生活に関する行為については、この限りでない。
引用:民法
解説
9条 成年被後見人の法律行為は、取り消すことができる。ただし、日用品の購入その他日常生活に関する行為については、この限りでない。
民法 第10条
条文
(後見開始の審判の取消し)
第10条 第七条に規定する原因が消滅したときは、家庭裁判所は、本人、配偶者、四親等内の親族、後見人(未成年後見人及び成年後見人をいう。以下同じ。)、後見監督人(未成年後見監督人及び成年後見監督人をいう。以下同じ。)又は検察官の請求により、後見開始の審判を取り消さなければならない。
引用:民法
解説
10条 第七条に規定する原因が消滅したときは、家庭裁判所は、本人、配偶者、四親等内の親族、後見人(未成年後見人及び成年後見人をいう。以下同じ。)、後見監督人(未成年後見監督人及び成年後見監督人をいう。以下同じ。)又は検察官の請求により、後見開始の審判を取り消さなければならない。
関連条項集
親族編
民法 第738条
条文
(成年後見人の婚姻)
第738条 成年被後見人が婚姻をするには、その成年後見人の同意を要しない。
引用:民法
解説
738条 成年被後見人が婚姻をするには、その成年後見人の同意を要しない。
民法 第780条
条文
(認知能力)
第780条 認知をするには、父又は母が未成年者又は成年被後見人であるときであっても、その法定代理人の同意を要しない。
引用:民法
解説
未成年にも規定がありましたが、ここにも出てきます。
認知は後見人の同意は不要 未成年、成年被後見人でも同意は不要です。
民法 第843条
条文
(成年後見人の選任)
第843条 家庭裁判所は、後見開始の審判をするときは、職権で、成年後見人を選任する。
2項 成年後見人が欠けたときは、家庭裁判所は、成年被後見人若しくはその親族その他の利害関係人の請求により又は職権で、成年後見人を選任する。
3項 成年後見人が選任されている場合においても、家庭裁判所は、必要があると認めるときは、前項に規定する者若しくは成年後見人の請求により又は職権で、更に成年後見人を選任することができる。
4項 成年後見人を選任するには、成年被後見人の心身の状態並びに生活及び財産の状況、成年後見人となる者の職業及び経歴並びに成年被後見人との利害関係の有無(成年後見人となる者が法人であるときは、その事業の種類及び内容並びにその法人及びその代表者と成年被後見人との利害関係の有無)、成年被後見人の意見その他一切の事情を考慮しなければならない。
引用:民法
解説
843条 家庭裁判所は、後見開始の審判をするときは、職権で、成年後見人を選任する。
選任は家庭裁判所の職権
2項 成年後見人が欠けたときは、家庭裁判所は、成年被後見人若しくはその親族その他の利害関係人の請求により又は職権で、成年後見人を選任する。
かけた場合は成年被後見人、親族、利害関係人の請求か職権で選任
3項 成年後見人が選任されている場合においても、家庭裁判所は、必要があると認めるときは、前項に規定する者若しくは成年後見人の請求により又は職権で、更に成年後見人を選任することができる。
成年後見人が選任されている場合でも更に成年後見人を選任することができる。
4項 成年後見人を選任するには、成年被後見人の心身の状態並びに生活及び財産の状況、成年後見人となる者の職業及び経歴並びに成年被後見人との利害関係の有無(成年後見人となる者が法人であるときは、その事業の種類及び内容並びにその法人及びその代表者と成年被後見人との利害関係の有無)、成年被後見人の意見その他一切の事情を考慮しなければならない。
未成年後見人に関しての840条の3項にも同じような条文が有ります。誰でもいいわけではありません。
7条では審判をすることが出来るとしています。その審判時には裁判所の職権が認められています。また事情を考慮しなければならないと義務規定が定められています。このように成年後見人の選任に関しては裁判所が強くかかわります。
民法 第844条~847条
条文
(後見人の辞任)
第844条 後見人は、正当な事由があるときは、家庭裁判所の許可を得て、その任務を辞することができる。
(辞任した後見人による新たな後見人の選任の請求)
第845条 後見人がその任務を辞したことによって新たに後見人を選任する必要が生じたときは、その後見人は、遅滞なく新たな後見人の選任を家庭裁判所に請求しなければならない。
(後見人の解任)
第846条 後見人に不正な行為、著しい不行跡その他後見の任務に適しない事由があるときは、家庭裁判所は、後見監督人、被後見人若しくはその親族若しくは検察官の請求により又は職権で、これを解任することができる。
(後見人の欠格事由)
第847条 次に掲げる者は、後見人となることができない。
一 未成年者
二 家庭裁判所で免ぜられた法定代理人、保佐人又は補助人
三 破産者
四 被後見人に対して訴訟をし、又はした者並びにその配偶者及び直系血族
五 行方の知れない者
引用:民法
解説
844条 後見人は、正当な事由があるときは、家庭裁判所の許可を得て、その任務を辞することができる。→辞任は正当な事由と裁判所の許可が必要です。勝手にやめることは出来ません。
845条 後見人がその任務を辞したことによって新たに後見人を選任する必要が生じたときは、その後見人は、遅滞なく新たな後見人の選任を家庭裁判所に請求しなければならない。→後見人の無い状態を防ぐ配慮がされている。
846条 後見人に不正な行為、著しい不行跡その他後見の任務に適しない事由があるときは、家庭裁判所は、後見監督人、被後見人若しくはその親族若しくは検察官の請求により又は職権で、これを解任することができる。→裁判所は選任してますから解任も出来ます。
847条 次に掲げる者は、後見人となることができない。→法人は上げられていません。後見人になることが出来ます。
民法 第859条
条文
(財産の管理及び代表)
第859条 後見人は、被後見人の財産を管理し、かつ、その財産に関する法律行為について被後見人を代表する。
2項 第824条ただし書の規定は、前項の場合について準用する。
引用:民法
解説
859条 後見人は、被後見人の財産を管理し、かつ、その財産に関する法律行為について被後見人を代表する。→財産上の法律行為は成年後見人が代理して行う
2項 第824条ただし書の規定(その子の行為を目的とする債務を生ずべき場合には、本人の同意を得なければならない。)は、前項の場合について準用する。
民法 第973条
条文
(成年被後見人の遺言)
第973条 成年被後見人が事理を弁識する能力を一時回復した時において遺言をするには、医師二人以上の立会いがなければならない。
2 遺言に立ち会った医師は、遺言者が遺言をする時において精神上の障害により事理を弁識する能力を欠く状態になかった旨を遺言書に付記して、これに署名し、印を押さなければならない。ただし、秘密証書による遺言にあっては、その封紙にその旨の記載をし、署名し、印を押さなければならない。
引用:民法
解説
遺言 一時回復+医師2名以上の立ち合い
立ち会った医師には精神上の障害により事理を弁識する能力を欠く状態になかった旨を付記、署名、押印する義務があります。
以上の欄をまとめて、関連条項から判断される事
①本人が単独で取消しも出来る。代理人も取消し出来る
②婚姻には後見人の同意は不要
③認知は後見人の同意は不要
④遺言 医師2名以上の立ち合い。医師は立ち合いの旨の記載、署名、押印。
⑤成年後見人の選任は家庭裁判所の職権
⑥成年後見人が欠けた場合は成年被後見人、親族、利害関係人の請求か職権で選任
⑦成年後見人が選任されている場合でも更に成年後見人を選任することができる。
⑧成年後見人の辞任は正当な事由が必要
⑨辞任する後見人が新たな後見人の請求を裁判所に行う
⑩法人は後見人になれる
⑪財産上の法律行為は成年後見人が代理して行う
となります。この辺りが総則に絡められて出題される傾向が高いと思います。
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