制限行為能力者の各規定を表にまとめました。各細分化することで分かりやすくなると思います。
事理弁識の程度と審判における本人の同意
事理弁識の程度と本人の同意
事理弁識の程度
事理を弁識する能力 | |
未成年 | 年齢による |
成年被後見人 | を欠く常況にある者 |
被保佐人 | が著しく不十分である者 |
被補助人 | が不十分である者 |
制限行為能力者の審判
本人の同意 | 理由 | |
未成年 | 不要 | |
成年被後見人 | 不要 | |
被保佐人 | 不要 | |
被補助人 | 要 | 15条2項に明記 |
同意権の審判
本人の同意 | 理由 | |
未成年 | 不要 | |
成年被後見人 | 不要 | 同意権なし |
被保佐人 | 不要 | 13条1項1~10 |
要 | 上記以外 | |
被補助人 | 要 | 17条2項に明記 13条1項1∼10の一部 |
代理権の審判
本人の同意 | 理由 | |
未成年 | 不要 | |
成年被後見人 | 不要 | |
被保佐人 | 要 | 876条の4 2項 |
被補助人 | 要 | 保佐人の規定準用 |
審判が必要な部分を覚える方が覚えやすそうです。
取消権
制限行為能力者、代理人の側から見た取消権
取消権
代理人の同意が必要な場合に代理人の同意なし
本人 | 代理人 | |
未成年 | 出来る | 出来る |
成年被後見人 | ||
被保佐人 | ||
被補助人 |
代理人の同意が必要な場合に同意を得ている
本人 | 代理人 | |
未成年 | 出来ない | 出来ない |
成年被後見人 | 出来る | 出来る |
被保佐人 | 出来ない | 出来ない |
被補助人 | 出来ない | 出来ない |
成年被後見人は取消権については大きく保護されているのが分る。
つけくわえますと、相手方に取消権はありません。
成年後見人と同意権
ここで注意点があります。
それは成年後見人と成年被後見人と同意権の関係です。
そもそも論として成年後見人には同意権はありません。
なぜ?
それは同意したからと言って事理弁識能力を欠く状況に有る者が有効な法律行為を出来るとは考えられていないためです。
そもそも同意を得ることの有効性が問題にされていないため同意が有ろうがなかろうが取消しが可能になります。
便宜上、上の表では同意が必要な場合に同意を得ていても得ていなくても取消しが出来ると記載しました。理由は問題がそのように出題されるからです。
「成年被後見人が成年後見人の同意を得て行った法律行為は取り消すことが出来ない」○か×か?なんてあったら迷いませんか?同意を得ていようが出来るんですね。同意が必要な法律行為自体が設定されていませんから。
と言う事でこの表現の方が実践的ではないかと思います。
現状回復
(取消しの効果)
121条 取り消された行為は、初めから無効であったものとみなす。
無効な場合は元に戻しましょうという事で以下
(原状回復の義務)
121条の2 無効な行為に基づく債務の履行として給付を受けた者は、相手方を原状に復させる義務を負う。
2 前項の規定にかかわらず、無効な無償行為に基づく債務の履行として給付を受けた者は、給付を受けた当時その行為が無効であること(給付を受けた後に前条の規定により初めから無効であったものとみなされた行為にあっては、給付を受けた当時その行為が取り消すことができるものであること)を知らなかったときは、その行為によって現に利益を受けている限度において、返還の義務を負う。
3 第一項の規定にかかわらず、行為の時に意思能力を有しなかった者は、その行為によって現に利益を受けている限度において、返還の義務を負う。行為の時に制限行為能力者であった者についても、同様とする。
現に利益を受けている限度:利益の残っている分(一部消費してしまったら残りを返還する)
取消しの第三者への主張
上記の取消しできる場合に第三者に対してどう主張が出来るのか?についてが以下です。
第三者の状況 | 第三者に取消しを主張できるか? |
善意 | 出来る |
悪意 | 出来る |
善意無過失 | 出来る |
非常に強力に保護されています。
ただし、取消し前、取消し後に物件が変動するという場合もあり突っ込んで考えていくと底なし沼です。
被保佐人ー買主ー第三者の関係で取消し前に質権設定され引き渡しがなされた事例で、引き渡された第三者を保護するとした事例があります。
このような複雑な事例は試験上多くないと考えています。
単純に第三者にも対抗できます。このくらいの程度が程よい掘り下げではないかと感じてます。
取消しできる取引の相手方の保護
取消権が存在する状態に置かれる相手方にも取引を確定するための方策が用意されています。
それが催告権です。
催告を受ける側 | 催告をする側の行動 | 確答を発しないとき | |
元制限行為能力者 | 1カ月以上の期間 追認するかどうかを確答するべき旨の催告 | 追認したものとみなす | |
法定代理人 保佐人 補助人 | |||
被保佐人 被補助人 | 1カ月以上の期間 保護者の追認を得るべき旨の催告 | 取り消したものとみなす | |
制限行為能力者 | 催告をしてもなんの効果もない |
被保佐人、被補助人に直接追認するかどうかを確答するべき旨の催告をしても効果は発生しませんが、保護者の追認を得るべき旨の催告は出来ます。
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